2022年03月16日  共同通信社

運転手の勤務間休息9時間 バスとタクシー、1時間増 過労対策で厚労省審議会

 

 厚生労働省の労働政策審議会作業部会は16日、バス運転手の過重労働対策として、終業から次の始業までの休息時間(勤務間インターバル)を最低9時間義務付ける案を取りまとめた。現行制度より休息を1時間増やした。労働組合などが求める「11時間以上」は努力義務とした。拘束時間は1日当たり原則13時間まで、最長で15時間とした。タクシー運転手も18日、別の作業部会が同様の内容でまとめる。

 厚労省は現在検討中のトラック運転手に関する見直しと併せ、年内をめどに自動車運転手の労働時間基準に関する告示を全面的に改正する方針。大幅な改正は1997年以来となる。

 作業部会で厚労省は当初、睡眠を含む勤務間インターバルを最低で11時間とする案を示し、労働者側委員は賛成したが、使用者側が「交通需要に応えられない」と反対。9時間に修正された。国際労働機関(ILO)の勧告など国際基準では11時間とされ、過労死が相次ぐ運転手の労働環境はさらなる改善が求められそうだ。

 作業部会の報告案では、現行の告示で8時間以上とされている休息時間を9時間以上と改め「11時間以上与えるよう努めることを基本とする」との文言も盛り込んだ。

 バス運転手に関しては月当たりの拘束時間の規定を新設し、年3300時間を超えない範囲で、月281時間までと定めた。1日当たりでは原則として13時間で最長15時間とし、14時間を超える回数を少なくするよう努めることとした。

 2019年に施行された働き方改革関連法で、一般労働者の残業時間上限は年720時間となった。自動車運転手は特例として上限を年960時間とする一方、24年3月末まで適用を猶予し、過労対策を講じるよう決められている。

 厚労省によると、20年度に過労による脳・心臓疾患で労災認定された自動車運転従事者は58人(うち22人死亡)で、全職種で最多。厳しい労働環境を受け、なり手不足も深刻化している。

(共同通信社)