政府は男女の賃金格差の是正に向け、企業に義務付けられている女性の登用状況に関する情報公表の拡充を検討する。公表の対象に男女の賃金状況を加え、義務化も視野に入れている。岸田文雄首相は国連「国際女性デー」の8日「賃金格差の是正に向けた企業の開示ルールを見直す」とのメッセージを出し、強い決意を示した。
賃金は経済情勢や経営環境により変動しやすく「公表された数字が独り歩きするのではないか」と懸念の声も出ている。
厚生労働省によると、2020年の所定内給与(月額平均)は男性33万8800円に対し、女性は25万1900円。
女性活躍推進法は従業員301人以上の大企業に、管理職の女性割合や男女の平均勤続年数、育休取得率などから最低2項目の公表を義務付けている。ただ、企業に都合の良い項目を選べるため、賃金状況の公表に関しては義務化も検討する。
男女の賃金格差は役職や勤続年数に左右される。これまでも厚労省などで格差を巡る議論はあったものの「企業によって所得の定義が違い、比べにくい」といった慎重な声が強かった。
首相は「成長と分配の好循環」の一環として、女性の賃上げを促したい考え。野田聖子男女共同参画担当相も「諸外国では賃金格差の公表を義務付けている例もある」と、踏み込んだ見直しに意欲を示している。
(共同通信社)