会長パワハラで賠償命令 リョーユーパン元社長訴え


 西日本を中心にパンや菓子を広く販売する「リョーユーパン」(福岡県大野城市)の元社長の男性が、創業家の会長にパワハラを受けたなどとして、会社と会長に損害賠償を求めた訴訟の判決で、福岡地裁は1日、人格を否定する発言があったとしてパワハラを認め、支払われなかった役員退職慰労金を含め、会社と会長に1045万円の支払いを命じた。
 判決によると、男性は1981年に入社、主に営業畑で勤務し2017年6月、社長に就任。社内会議で会長に「無能だ」「横領するより始末が悪い」などと繰り返し暴言を吐かれ、業務に関し「最悪の状態になったら呪い殺す」とも言われた。男性はうつ病と診断され、19年3月末に退社した。
 松葉佐隆之裁判長は、会長の一連の発言は「指導と正当化することはできず、社会通念上許されない」と指摘。また、会長の指示で、取締役会などに諮らず男性の退職慰労金を支給しなかったことは、注意義務に違反していると判断した。
 ホームページなどによると、リョーユーパンは1950年、佐賀県唐津市に「唐津糧友製パン」として誕生。業績を拡大し、94年現在の社名となった。従業員は約3400人で、関連会社を含むグループ全体の21年3月期の年商は約423億円。判決に関し「コメントは差し控える」とした。
(共同通信社)