厚生労働省は9日、医療機関のサービスの対価である診療報酬に関し、2022年4月の改定内容を決めた。不妊治療の公的医療保険適用を体外受精などに拡大。不妊治療は高額で保険が利かないことが多く、保険適用でカップルの費用負担を減らし、出産を支援する。政府は少子化対策の目玉の一つに位置付ける。
オミクロン株が広がる新型コロナウイルス禍を踏まえ、医療機関に対応強化を促す。診療所が発熱患者の診察体制を整えたり、病院が重症者対応で経験豊富な看護師を配置したりすれば報酬を上乗せする。オンライン診療は、コロナ対応で特例的に初診を解禁していたが、これを恒久措置とし、初診料を2140円から2510円に増やす。
中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)が9日、答申した。診療報酬は患者が窓口で原則1~3割を負担し、残りを保険料や税金で賄う。
不妊治療に関し、体外受精と顕微授精は子ども1人につき、治療開始時に女性が40歳未満なら6回まで、40歳以上43歳未満は3回までを条件とする。精子を子宮内に注入する人工授精や、男性には年齢制限を設けない。
価格設定(診療報酬)の一例は、人工授精1万8200円、体外受精管理料4万2千円などで、他に関連治療も必要となる。不妊治療は現在、原因検査や排卵誘発剤を使う場合などが保険適用され、他は自己負担だ。
厚労省によると従来、体外受精は1回平均約50万円かかった。保険適用となれば、1カ月の自己負担額に上限を設ける高額療養費制度を使えるようになり、年収約370万~770万円の場合は8万円程度で収まる。
コロナ関連は、診療所が院内感染対策で責任者を置いて手順書を作ると、全ての外来患者1人当たり月1回60円を加算。大病院が行う感染症対策訓練への参加や、発熱患者を受け入れるとホームページで公表することを求める。病院では、経験5年以上の看護師らを集中治療室(ICU)に配置した場合に、入院患者1人当たり1日最大7500円を上乗せする。
(共同通信社)