2022年02月01日掲載

労働基準法の基礎知識 - 専門業務型裁量労働制

導入することができる業務

 専門業務型裁量労働制を導入することができる業務は、①新商品もしくは新技術の研究開発または人文科学もしくは自然科学に関する研究の業務、②情報処理システムの分析または設計の業務、③新聞もしくは出版の事業における記事の取材もしくは編集の業務または放送番組の制作のための取材もしくは編集の業務など、下記に掲げる業務に限られます。
 これら業務のうち具体的にどのようなものにこの制度を適用するかについては、各事業場での業務の実態などを踏まえて労使間で協議し、労使協定で定めます。たとえ上記のような業務に該当したとしても、上長の管理の下に業務遂行や時間配分の管理が行われている場合や、その業務に付随する単なる雑用のみを行う場合などは、この裁量労働制の対象とはなりません。

みなし労働時間

 労使協定において、①専門業務型裁量労働制の対象業務に該当する業務を定め、②この業務を行ううえで必要とされる時間などを定めた場合、労働者は、この協定で定める時間だけ労働したものとみなされます。

●働き過ぎにならないよう留意する
 この制度の下で働く労働者は、自らの裁量により、業務遂行の手段や時間配分などを決めて働くこととなります。その反面、実際の労働時間によるのではなく、労使協定で定められた時間働いたものとみなされますので、たとえば朝9時から夜9時まで(休憩時間を除きます)働いたとしても、協定で定める時間が「8時間」であれば、この労働者は「8時間」働いたものとされます。そのため、労働者の労働時間の状況に応じた健康・福祉を確保するための措置を定めるなど、労働者に過度の負担がかからないよう、使用者は配慮することが必要です。
 この労働時間のみなし規定が適用される場合であっても、休憩時間や深夜業、休日に関する規定は、一般の労働者と同様に適用されます。

対象となる業務

導入の流れ

この解説は『初任者・職場管理者のための労働基準法の本 第4版』より抜粋しました。労務行政研究所:編 A5判 192頁 2,035円
(URL:https://www.rosei.jp/store/book/9123
初めて労働基準法を学ぶ方に最適の1冊!
担当者として管理者として知っておくべきポイントに加え、職場で起こりがちな問題は、「実務に役立つQ&A40」で実務に即して解説しています。