2022年02月01日掲載

労働基準法の基礎知識 - 1カ月単位の変形労働時間制

労使協定または就業規則で規定する

 「1カ月単位の変形労働時間制」は、一定の期間における法定労働時間の総枠の範囲内で1日または1週間の法定労働時間を超えて労働させることができる制度です。1カ月以内の期間において、ある10日間は忙しいが残りの日はあまり忙しくないというように、繁閑の差がある業務などで適用されます。

●定めるべき事項
 1カ月以内の一定期間(変形期間)を平均し1週間当たりの労働時間が1週間の法定労働時間を超えない範囲内において、①変形期間、②変形期間の起算日、③変形期間における各日、各週の労働時間を定め、就業規則において、④変形期間の各労働日の始業・終業時刻について定めます。
 「変形期間を平均し1週間当たりの労働時間が1週間の法定労働時間を超えない範囲内」とするとは、変形期間内の所定労働時間の合計を、「1週間の法定労働時間×変形期間の週数(変形期間の日数÷7日)」の範囲内としなければならないということです。つまり、変形期間を1カ月単位とする場合には、上の式から30日の月=171.4時間、31日の月=177.1時間となり、4週単位とする場合は、160時間となります。この時間が、変形期間を通じての法定労働時間となります。

変形労働時間制にも時間外労働は生じる

 この制度を採用した場合でも、下記のケースは時間外労働となります。

①1日については、(ア)就業規則等により8時間を超える時間を定めた日はその時間、(イ)それ以外の日は8時間を超えて労働した時間

②1週間については、(ア)就業規則等により40時間を超える時間を定めた週はその時間、(イ)それ以外の週は40時間を超えて労働した時間(①で時間外労働となる時間を除きます)

③変形期間については、変形期間における法定労働時間の総枠を超えて労働した時間(①②で時間外労働となる時間を除きます)

時間外労働の考え方

この解説は『初任者・職場管理者のための労働基準法の本 第4版』より抜粋しました。労務行政研究所:編 A5判 192頁 2,035円
(URL:https://www.rosei.jp/store/book/9123
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