リスキリング

公開日 2022.01.24 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)

リスキリング(りすきりんぐ)

 企業が従業員を再教育して、将来的に必要となる仕事上のスキルを習得させること。「再」を意味する接頭語の「re」と、「訓練すること」を意味する「skilling」が組み合わさった言葉。近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進行に伴い、仕事の内容や進め方が大幅に変化する中で、従業員に新しい技術を習得させることが必要になってきたことから、世間の注目を集めるようになった。
 従業員が新しい知識・技術を習得するという意味では「リカレント教育」と似ているが、次の点で異なっているとされている。

(1)リカレント教育は「従業員自らが関心を持っていることを学び直すもの」であるが、リスキリングは「企業が今後必要となる仕事上の技術を従業員に習得させること」を指す。

(2)リカレント教育は「従業員が一時的に仕事を離れて、大学や教育機関で知識・技術を学び直すこと」を前提としているが、リスキリングは「従業員が在職中に研修プログラムなどを通じて、新技術を習得すること」を原則としている。

 欧米では、2010年ごろから情報通信大手企業などでAIに関する先進技術を従業員に習得させるプログラムが実施されていたが、2020年の世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)において、「リスキリング革命」が発表されたことにより、世界的にリスキリングへの関心が高まった。

※第4次産業革命に伴う技術の変化に対応した新たなスキルを獲得するために、2030年までに10億人により良い教育、スキル、仕事を提供するというイニシアチブ

 日本においては、2017年に経済産業省が「第四次産業革命スキル習得講座認定制度」を創設し、教育訓練機関などに新技術などを習得する講座の実施を促して、リスキリングが普及するための基盤整備を進めた。2020年ごろからは、大手企業が従業員にDX研修を実施するなど、リスキリングへ取り組みが広がり始めている。