公開日 2022.01.24 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)
シフト制(しふとせい)
労働契約の締結時点では労働日や労働時間を確定的に定めず、一定期間(1週間、1カ月など)ごとに作成される勤務割や勤務シフトなどにおいて、初めて具体的な労働日や労働時間を確定させるような勤務形態。飲食業や小売業などのパートタイム労働者やアルバイトなどに多く見られる。
こうした「シフト制」は、その時々の事情に応じて柔軟に労働日・労働時間を設定できるという点で使用者、労働者の双方にメリットがあり得る一方、使用者の都合により、労働日がほとんど設定されなかったり、労働者の希望を超える労働日数が設定されたりすることなどが原因となって労働紛争が発生するリスクを抱えている。
労働紛争を予防し、労使双方にとってシフト制での働き方をメリットのあるものとするため、厚生労働省は、2022年1月に『いわゆる「シフト制」により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項』を作成し、使用者にシフト制労働者に対する適切な雇用管理を行うことを求めた※。
※なお、同留意事項では冒頭で、従前から見られたいわゆる交替勤務(年や月などの一定期間における労働日数や労働時間数が決まっており、その上で、就業規則等に定められた勤務時間のパターンを組み合わせて勤務する形態)は対象から除くものと明記している
同留意事項では、次のような内容が示されている。
(1)シフト制労働契約に関する留意事項
労働契約の締結時に明示すべき労働条件、労働日、労働時間などの設定に関する基本的な考え方など
(2)労働者の安全と健康の確保
労働安全衛生関係法令の適用に関することなど
(3)労働者を実際に労働させるに当たっての労働時間等の扱い
労働時間、年次有給休暇、休業の取り扱いなど
(4)その他
解雇・雇止め、募集、社会保険・労働保険の加入に関することなど
なお、この留意事項では、シフト制労働契約では、シフトの作成・変更・設定などについて、次のようなルールを定めておくことが考えられるとしている。
①シフトの作成に関するルールとして「事前に労働者の意見を聞くこと」あるいは、「シフトの通知期限や通知方法を定めておくこと」など
②シフト変更に関するルールとして、「使用者や労働者がシフト変更の申出を行う場合の期限や手続きを定めておくこと」など
③シフトの設定時に、労働者の希望に応じて「一定の期間中に労働日が設定される最大の日数、時間数、時間帯」や「一定の期間中の目安となる労働日数、労働時間数」などについてあらかじめ合意しておくこと