在職定時改定

公開日 2022.01.24 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)

在職定時改定(ざいしょくていじかいてい)

 65歳以上の在職中の老齢厚生年金受給者について、年金額を毎年10月に改定することにより、65歳以降に納めた保険料を年金額に反映する制度。厚生年金保険法の改正により、2022年4月から新たに適用される。
 この法改正が行われる前は、老齢厚生年金の受給権を取得した後に就労した場合、受給権取得後の被保険者期間は、退職または70歳到達により被保険者資格を喪失した時点で加算されることになっていたため、在職中は老齢厚生年金の額が増えることはなかった。
 在職定時改定の導入により、従来よりも早いタイミングで、また在職していても、受給権取得後に就労を継続したことの効果を年金額に反映させることができるようになり、年金を受給しながら働く65歳以上の労働者の経済基盤の充実が図られる。

 在職定時改定の具体的な仕組みは、次のとおりである。

(1)毎年9月1日を「基準日」とし、老齢厚生年金の受給権者が基準日において被保険者である場合(基準日に被保険者の資格を取得した場合を除く)、老齢厚生年金の額は、基準日の属する月前の被保険者であった期間をその計算の基礎とするものとし、基準日の属する月の翌月から年金の額を改定する。

(2)基準日が被保険者の資格を喪失した日から再び被保険者の資格を取得した日までの間に到来し、かつ、その資格喪失日から資格取得日までの期間が1カ月以内である場合は、基準日において被保険者である場合と同様に扱い、基準日の属する月前の被保険者であった期間を加算して、基準日の属する月の翌月から年金額を改定する。