就職活動中の学生に対するハラスメント(嫌がらせ)に関し、主要企業106社の87%が社内での啓発や面会時のルール作りなど、何らかの防止措置を取っていることが20日、共同通信社のアンケートで分かった。今後取り組む予定とした企業を加えると計92%。採用担当者らが学生に性的な嫌がらせをする「就活セクハラ」被害が特に社会問題化する中で、企業が対応を迫られている現状が浮き彫りとなった。
2020年6月施行の女性活躍・ハラスメント規制法では、大企業にハラスメントの防止対策を義務付け、22年4月からは中小企業にも拡大する。しかし、保護対象は従業員のみで、就活生は努力義務にとどまる。
一方、厚生労働省が20年度に実施した調査によると、就職活動やインターンシップを経験した学生の約4人に1人がセクハラ被害を受けていた。OB訪問の女子学生にわいせつ行為や乱暴を加える逮捕事案も相次ぐ。
アンケートでハラスメント防止措置に「取り組んでいる」または「取り組む予定」としたのは計97社。複数回答で内容を尋ねたところ、最も多かったのは「社内での周知・啓発」で87%。次いで「就活生との面会や連絡ルールを設定」62%、「就労規定などで禁止行為を明記」15%と続いた。
ただ、「相談窓口の設置」は14%にとどまり、「大学など外部機関との連携」はゼロ。防止や抑止には力を入れているものの、問題が起きた場合の被害者対応には課題が残った。
対策の具体的な内容は「ハラスメント対策指針に就職活動中の学生も対象になると明記」(化学)、「面接官やリクルーターへの啓発」(機械)、「全ての採用説明会で就活生に対し、リクルート活動の約束事を説明」(運輸)などが挙げられた。
調査は21年11月中旬~12月上旬に実施した。
(共同通信社)