飲酒運転により懲戒免職となった長野県小諸市の元職員の50代男性が、退職手当約1600万円を支給しなかった市の処分は「裁量権の乱用で違法」として、取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は14日、主張を認め処分を取り消した。昨年6月の一審長野地裁判決を支持し、市側の控訴を棄却した。
判決によると、男性は2018年9月、実家で飲酒した後、約150メートル離れた自宅に車で向かい自転車と接触。道交法違反(酒気帯び運転)罪で略式起訴され、罰金30万円の略式命令を受けた。
退職手当に関する市条例では、懲戒免職の場合、市が行為の内容や程度などを総合考慮し、支給の可否や減額を決められると規定している。
平田豊裁判長は、飲酒運転について「動機や経緯に酌量の余地はない」とする一方、人的被害はなく、事故は軽微であることを考慮すべきだと指摘。退職手当は長期間の勤続報償や、賃金の後払い、生活保障といった性格があり「約33年8カ月の男性の勤続に対する報償などを全て奪ってもやむを得ないとする処分は重すぎる」と判断した。
小諸市は「判決内容を精査し、対応を検討する」とした上で、判決が確定した場合は「全額あるいは一部を支給することになる」としている。
(共同通信社)
2022年01月14日 共同通信社