適応障害と診断され休職した後、回復したのに復職を認められず退職に追い込まれたとして、NECの元子会社「NECディスプレイソリューションズ」(東京)の元社員伊草貴大さん(30)=神奈川県=が職場復帰を求めた訴訟で、横浜地裁は23日、退職を無効とする判決を言い渡した。
判決によると、伊草さんは2015年12月に適応障害と診断され休職。17年8月には回復して復職できたにもかかわらず、同社は医師の意見を踏まえ「意図することが伝わらず、コミュニケーションが成立しない」などとして認めなかった。伊草さんは18年10月、退職した。
真鍋美穂子裁判長は同社が復職を認めなかった理由について「適応障害から生じる症状とは区別されるべきだ」と指摘した上で「休職理由に含まれない理由で雇用契約の終了という法的効果を生じさせ、許されない」と判断した。
同社はシャープに株式譲渡され、2020年11月に「シャープNECディスプレイソリューションズ」に社名を変更。判決を受け、「納得できる内容ではない。今後対応を検討する」とコメントした。
(共同通信社)