事務所衛生基準規則

公開日 2021.12.22 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)

事務所衛生基準規則(じむしょえいせいきじゅんきそく)

 労働安全衛生法に基づき、事務室の空調や明るさなどの環境管理、トイレ設備や更衣設備などの清潔を保持するための措置、休憩や休養などを行うための設備、および救急用具を定めた、厚生労働省の省令(昭47.9.30 労令43、最終改正:令3.12.1 厚労令188)。制定後50年にわたり、事務所の衛生水準を確保する役割を担ってきたが、女性の社会進出や活躍の推進、高年齢労働者や障がいのある労働者を含むすべての労働者にとって働きやすい環境の確保への重要性が高まってきたことから、そこに定められた基準の見直しが必要になってきた。
 厚生労働省は、2020年8月から21年2月まで、有識者による「事務所衛生基準のあり方に関する検討会」を開催し、そこでの検討結果を踏まえ、事務所衛生基準規則(事務所則)および労働安全衛生規則(安衛則)の一部を次のように改正することとした。

(1)照度の基準(2022年12月1日より施行)
 事務所則10条に定められている室の作業面の照度の基準を以下のとおりとする。

(2)便所の設置基準(2021年12月1日より施行)
 事務所則17条の2および安衛則628条の2に定められている便所の設置基準について、同時に就業する労働者が常時10人以内である事務所の場合は、便所を男性用と女性用に区別することの例外として、建物の構造の理由からやむを得ない場合などについては独立個室型の便所を設けることで足りることとする(既存の男女別便所の廃止などは不可)。なお、男性用と女性用に区別した便所を設置した上で、独立個室型の便所を設置する場合は、男性用大便所の便房、男性用小便所および女性用便所の便房をそれぞれ一定程度設置したものとして取り扱うことができるものとする。

※男性用大便所または女性用便所の便房の数もしくは男性用小便所の箇所数を算定する際に基準とする当該事業場における同時に就業する労働者の数について、独立個室型の便所1個につき男女それぞれ10人ずつ減ずることができることとする。

 なお、更衣設備(事務所則18条)、休憩の設備(同19条)、休養室・休養所(同21条)および作業環境測定(同7条)については、現行の基準を維持しつつ、弾力的な運用を可能とする手当てを行うこととされている。