賃上げ率に応じて優遇拡充 法人税控除、大幅引き上げ

 

 法人税減税を通じて企業に賃上げを促す税制は、「成長と分配の好循環」による中間層の復活を掲げる岸田政権の看板政策の一環として強化された。給与を増やした企業が法人税から差し引くことのできる「控除率」を大幅に引き上げた上、賃上げ率を高くするなど積極的な企業ほど控除を大きくする仕組みとする。

 今回の強化は2023年度までの2年間の措置。政府、与党は「賃上げ税制としては過去最高水準の控除率」とアピールしている。

 大企業の場合、これまでは新規雇用者の給与総額が前年度より増えた場合を優遇対象としていたが、22年度からは継続して雇用している既存の従業員の給与総額が増えた場合を対象とする。

 賃金を3%以上増やした場合は、雇用者全体の給与総額の増加額の15%を、法人税額から控除できる。賃上げが4%以上の場合は控除率を10%上乗せして25%とする。教育訓練費を2割以上増やした場合は5%の上乗せ措置もあり、すべてを満たせば最大の30%の控除率が適用される。

 中小企業は雇用者全体の給与総額を1・5%以上増やした場合、現行通り15%を法人税額から差し引くことができる。2・5%以上増やした場合は15%上乗せして30%になる。教育訓練費を1割以上増やした場合は10%の上乗せ措置もあり、すべてを満たせば最大の40%の控除率となる。

(共同通信社)