経団連は6日、会長・副会長会議を開き、2022年春闘の経営側の交渉方針となる「経営労働政策特別委員会(経労委)報告」の骨子案を協議した。岸田文雄首相が期待を表明した3%超の賃金引き上げには一律の対応を見送り、賃上げに関する数字目標も設けない。一方、好業績の企業には基本給を底上げするベースアップ(ベア)を含めた賃上げを促す。
骨子案では、労使協議は「業種横並びや一律的な検討ではなく」、各企業の実情に合わせるべきだと主張。収益が増大した企業は「昇給に加え、ベア実施を含めた『新しい資本主義』の起動にふさわしい賃金引き上げが望まれる」とした。
新型コロナウイルス禍を受け、21年春闘方針では好業績企業でもベアは「選択肢」にとどめた。22年春闘は賃上げに前向きな姿勢を示し、岸田政権が掲げる成長と分配による新しい資本主義に足並みをそろえる表現とした。
経団連の十倉雅和会長は6日の定例会見で、春闘方針について「(コロナ禍で)業績にばらつきがあり、数字(目標)を出すことで乱暴な議論になる」と述べた。
骨子案によると、業績低迷が続く企業に関しては「事業継続と雇用維持が最優先」と指摘。その上で、単年度ではなく複数年度にわたって基本給水準の在り方を検討するよう提案する。
経団連は来年1月に経労委報告を正式決定する。
岸田氏は今年11月下旬の政府会合で、業績がコロナ前の水準を回復した企業に「3%を超える賃上げを期待する」と強調した。労働組合の中央組織である連合は今月2日、定昇とベアを合わせ4%程度の賃上げを目指す方針を決めた。
(共同通信社)