賃上げ税制、最大40%控除 大企業30%、段階引き上げ 「成長と分配」へ大幅拡充 政府方針、22年度改正

 

 政府は2022年度税制改正の焦点となっている賃上げ税制の強化に関し、企業の法人税額から差し引くことができる控除率を、大企業は最大30%、中小企業は最大40%に引き上げる方向で調整していることが3日、分かった。岸田文雄首相が掲げる「成長と分配の好循環」の実現に向け、減税額を大幅に増やし、企業に積極的な賃上げを促す。

 各企業の賃上げの取り組み状況に応じて現在の15%から段階的に引き上げる方向で、最大の控除率が適用される要件など詳細は今後詰める。

 現行制度では、大企業の場合、新たに雇用した従業員の給与総額を前年度より2%以上増やした場合、支給額の15%分を法人税から差し引くことができる。中小企業は全雇用者の給与総額が1・5%以上増えた場合、増加額の15%分を控除でき、一定の要件を満たせば25%となる上乗せ措置もある。

 大企業に関しては、賃上げしたかどうかを判断する対象を、現在の新規雇用者から継続して雇用している従業員に変更することも検討している。

 賃上げにボーナスなどの一時金を入れるかどうかも論点となる。現行では一時金を含めた給与総額が増えれば、法人税を軽減する仕組みとなっており、持続的な賃上げにつながっていないとの批判がある。自民党税制調査会の宮沢洋一会長は「賞与を除いた基本給などが、しっかり上がることが成長につながる」と一時金の除外に意欲を示していた。

 自民党は3日、税制調査会を開き、賃上げ税制の強化や住宅ローン減税の見直しなどを議論。9日にもまとめる与党税制改正大綱に具体策を盛り込むため、詰めの協議を急いでいる。

 法人税を納める必要がなく、税制優遇が効かない赤字の中小企業には、補助金を活用して賃上げを促す。

(共同通信社)