転勤拒否で解雇は適法 NEC関連の元社員敗訴


 小学生だった長男の病気や母親の介護を理由に転勤に応じなかったことで懲戒解雇とされたのは不当だとして、NECソリューションイノベータ(東京)の元社員が同社に慰謝料100万円の支払いや解雇の無効確認を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は29日、転勤による著しい不利益はないとして請求を棄却した。
 中山誠一裁判長は「(転勤命令は)業務の効率化や雇用の維持の観点から必要性があった」と判断。転勤拒否を理由とする懲戒解雇も「命令に応じない事態を放置すれば企業秩序を維持できない」として合理性があると指摘した。
 元社員側は、配置転換の際に従業員の家庭事情への配慮を義務付ける育児・介護休業法に違反すると主張。中山裁判長は、転勤先でも長男の病気や母親の介護に対応できるとして退けた。
 判決後に記者会見した原告の中正司光幸さん(55)=大阪府岸和田市=は「転勤の際に家庭や本人の事情があれば配慮するべきで不当な判決」と控訴する方針を示した。
 判決などによると、持病を抱える母(77)と長男(13)と岸和田市で3人暮らしだった2019年3月、川崎市の事業所への転勤通知を受けたが着任せず、翌4月に懲戒解雇とされた。
 親会社のNECは「当社の主張が認められた。妥当な判断だと考えている」とコメントした。
(共同通信社)