賃上げ税制、賞与対象外に 給与底上げ目指す 政府与党、制度変更検討

 

 岸田政権が分配政策の目玉として掲げる賃上げ税制の強化について、政府、与党が税制優遇の対象からボーナスなどの一時金で賃金が増えた分を外し、定期昇給やベースアップなどで給与水準を引き上げた場合を軸とする検討に入ったことが12日、分かった。一時的な賃金増加だけでなく、基本給などの給与の底上げにつなげたい考えだ。

 年末にかけての税制改正議論で具体的な制度設計を詰める。現行の制度は、ボーナスも含めた従業員の給与総額が前年度より増えた場合に、法人税額から支給額の一部を差し引くことで企業の税負担を軽減する。

 適用要件は大企業と中小企業で異なり、大企業は新規雇用者の給与総額が前年度より2%以上増えれば支給額の15%分を、中小企業は全雇用者の給与総額が1・5%以上増えれば増加額の15%分を控除できる。

 ただ、現行の制度ではボーナスなどで総額を一時的に膨らませた場合も対象となるため、必ずしも持続的な給与の引き上げにつながっていないとの指摘があった。

 このため政府、与党は控除率の引き上げとともに、制度の適用基準を変更。ボーナスなどの一時金を除いた給与を引き上げた企業を優遇する形にすることを検討する。

 ただ大企業に比べて経営体力の弱い中小企業については、基本給などの引き上げは固定費の増加につながることから、ボーナスを対象外にすることを懸念する声があり、大企業とは要件を変える可能性もある。

(共同通信社)