2021年11月10日  共同通信社

休業支援延長、答申見送り 財源確保策なく委員反発

 

 労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)の雇用保険部会は10日、新型コロナウイルス禍での「休業支援金・給付金」の対象期間を1カ月延長し、12月末までとするよう求める厚労相諮問への答申を見送った。一部委員が、枯渇する雇用保険の財源確保策が示されなかったことに反発したため。厚労省は既に延長を発表しているが、答申されなければできなくなる。幹部は「なんとか納得してもらい支障が出ないようにしたい」としている。

 反発したのは経営側、労働側双方の委員。通常は異論があっても水面下で調整されるため、答申が見送られるのは異例だ。ただ、労使とも12月末までの延長自体に異論はなく、11月末までには認められる可能性が高い。

 国はコロナで雇用情勢が悪化する中、従業員への休業手当の大部分を国が企業に代わって支払う「雇用調整助成金」制度を拡充した。財源は主に労使が保険料を負担する雇用保険で、コロナ禍の長期化で昨春からの支給決定額が5兆円に迫り、本年度予算も使い切った。このため委員らが以前から財源確保策を示すよう厚労省に求めていた。

 休業支援金は雇調金を補完する形で新設。仕事を休んだ労働者が直接国に休業補償を請求できる。

(共同通信社)