男性社員向けに有給の育休制度を導入する動きが広がり始めた。江崎グリコのように取得を義務付ける企業もあり、長期間休むことによる経済的負担を軽減して男性の育児参加を積極的に後押しする。
グリコは生後6カ月までの子どもを持つ社員を対象に、有給扱いで1カ月間の育休取得を義務付ける制度を2020年1月に始めた。17年時点で約4%だった育休取得率は現在100%に。担当者は「育休に対する社員の意識が変わった。子育て中の『気付き』を食品メーカーの仕事に生かしてほしい」と話す。
清水建設も今年10月から、子どもが生後8週間以内の社員に対し、最大4週間の有給休暇を用意。上司が面談で取得を推奨している。これまでも2歳になるまで日数制限なしで休暇を取得できたが、無給だった。
メルカリは子どもが生後8週間になるまで、残業代などを除いた給料を保障した上で休める制度を取り入れている。強制ではないものの、約90%の男性社員が育休を取得する。1歳になるまで保育園費用を月額最大10万円まで補助する制度も試験導入している。
来年10月には改正育児・介護休業法で「出生時育児休業(男性版産休)」が新設され、子どもが生まれてから8週間以内に、夫が計4週分の休みを2回まで分割して取得できるようになる。これを機に、育休普及に向けた企業の側の環境整備が一段と進みそうだ。
(共同通信社)