経団連は5日、副業・兼業の促進に向け、主要15社の取り組みをまとめた報告書を公表した。労働時間の管理や情報漏えいに対する懸念を背景に、副業の容認企業は22%にとどまるものの、社員の働きがい向上につながる施策と分析。導入が困難な場合は、他部署の仕事を兼ねる「社内副業」も選択肢になり得ると指摘した。
長時間労働の防止対策として、三菱地所は第三者機関のソフトを活用し、副業先での労働時間を把握。東京海上日動火災保険は副業での労働時間は原則30時間までと定め、ライオンも午後10時以降の副業を禁じて翌勤務まで10時間以上を確保するよう求めている。
多くの企業が機密情報の流出や名誉毀損などに懸念が生じた際は副業を制限すると就業規則などに明記しているという。
経団連が昨年実施し、487社が回答した調査では78%が副業を認めていなかった。ただ、副業は多様な人事労務政策の一つで、自社実態に合わせた検討が重要だと説明した。
報告書では、副業の代わりとして社内副業などの事例も紹介した。ディー・エヌ・エーは社員の希望により業務の最大30%を他部署の仕事を兼務できる制度を導入。三菱地所は、業務時間の10%以上を通常業務以外の活動に充てることを必須にした制度を設けている。
(共同通信社)