人材確保等促進税制

公開日 2021.9.28 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)

人材確保等促進税制(じんざいかくほとうそくしんぜいせい)

 新たな人材の獲得および人材育成の強化を促しつつ、第二の就職氷河期を生み出さないようにする観点から、新規雇用者に対する給与を一定割合以上増加させた企業に対して、新規雇用者給与等支給額の一定割合を税額控除する措置。なお、事業変革に向けた人材投資(教育訓練費)を増加させた企業に対しては、税額控除率を上乗せする措置も講じられる。適用対象は、青色申告書を提出する全企業であり、適用期間は、2021年4月1日から2023年3月31日までの間に開始する各事業年度とされている。
 具体的な適用要件、税額控除は、次のとおりである。

(1)通常要件

●適用要件:新規雇用者給与等支給額※1が、前年度より2%以上増えていること。
雇用者給与等支給額が前年度を上回ること。

●税額控除:控除対象新規雇用者給与等支給額※2の15%を法人税額または所得税額から控除する。

(2)上乗せ要件

●適用要件:通常要件を満たす企業において、教育訓練費の額※3が前年度より20%以上増えていること。

●税額控除:通常要件の控除率を5%上乗せし、控除対象新規雇用者給与等支給額の20%を法人税額または所得税額から控除する。

 なお、税額控除額は法人税額または所得税額の20%を上限とする。
 この措置の適用を受けるためには、法人税の申告の際に、確定申告書等に適用額明細書並びに税額控除の対象となる控除対象新規雇用者給与等支給額、控除を受ける金額およびその金額の計算に関する明細書を添付することが必要である。

※1:「新規雇用者給与等支給額」とは、国内新規雇用者のうち雇用保険の一般被保険者に対してその雇用した日から1年以内に支給する給与などの支給額をいう。

※2:「控除対象新規雇用者給与等支給額」とは、適用年度において、国内新規雇用者に対してその雇用した日から1年以内に支給する給与等の支給額をいう。なお、新規雇用者給与等支給額と異なり、国内新規雇用者を雇用保険の一般被保険者に限らず、また、給与等支給額から雇用調整助成金などの雇用安定助成金額を控除する。

※3:「教育訓練費の額」とは、国内雇用者の職務に必要な技術または知識を習得させ、または向上させるために支出する費用のうち一定のものをいう。