公開日 2021.8.25 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)
過労死等の防止のための対策に関する大綱
(かろうしとうのぼうしのためのたいさくにかんするたいこう)
過労死等防止対策推進法に基づき、過労死等防止対策の基本的な考え方、国や国以外の主体が取り組む重点対策、対策の数値目標などをまとめた、政府が定める大綱。大綱は、社会経済情勢の変化、過労死等をめぐる諸情勢の変化、対策の推進状況などを踏まえ、おおむね3年を目途に見直しを行うこととされており、2015年7月24日に初めて策定(閣議決定)されて以来、18年、21年にそれぞれ変更が行われている。
2021年7月30日に閣議決定された大綱では、これまでの大綱の基本的な枠組みは維持した上で、次の点を変更している。
(1)新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う対応や働き方の変化を踏まえた過労死等防止対策の取り組みを進めること
(2)新しい働き方であるテレワーク、副業・兼業、フリーランスについて、ガイドラインの周知などにより、過重労働にならないよう企業を啓発していくこと
(3)調査研究について、重点業種等※に加え、新しい働き方や社会情勢の変化に応じた対象を追加すること。また、これまでの調査研究成果を活用した過労死等防止対策のチェックリストを開発すること
※自動車運転従事者、教職員、IT産業、外食産業、医療、建設業、メディア業界
(4)過労死で親を亡くした遺児の健全な成長をサポートするための相談対応を実施すること
(5)「週労働時間60時間以上の雇用者の割合」や勤務間インターバル制度の周知、導入に関する数値目標などを更新する。なお、公務員についても目標の趣旨を踏まえて必要な取り組みを推進すること
厚生労働省は、この大綱に基づき、関係省庁等と連携しながら、過労死ゼロを目指し、国民が健康に働き続けることのできる充実した社会の実現に向けて、さまざまな対策に引き続き取り組んでいくこととしている。