2021年08月13日  共同通信社

最低賃金28~32円引き上げ コロナ禍でも7県目安超え 厚労省、全国平均公表へ

 

 2021年度の地域別最低賃金の改定額が全都道府県で出そろった。中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)は7月、目安額としては過去最大となる時給28円の引き上げを答申。答申を受けて地方審議会で協議した結果、40都道府県で目安額通りの改定となり、山形や島根など7県では目安額を上回る29~32円引き上げた。10月以降順次適用する。

 厚労省は13日、人口を加味した全国平均の時給額を公表する。

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済情勢の悪化の中での各地の大幅引き上げは、時給千円への早期引き上げを目指す菅義偉政権の意向が反映された形だ。

 目安額を上回った7県はいずれも、経済情勢などに応じて都道府県をAからDまで分類した場合に、最低賃金が最も低いDランク。人手不足や若年層の流出を防ぐため、コロナ禍でも目安額を超えた引き上げが必要だと判断したとみられる。

 引き上げ幅は島根の32円が最も大きく、次いで秋田と大分が30円で、青森、山形、鳥取、佐賀が29円だった。改定後の最高額は東京の1041円で、最低額は高知と沖縄の820円。

 地方の審議では、コロナ禍が収まらず厳しい経営環境が続いているとして経営者側は引き上げに強く反対。有識者からなる公益委員と、大幅引き上げを主張する労働者側による賛成多数で引き上げが決まるケースも目立った。

 最低賃金を巡っては、労使と公益委員で構成する中央審議会が7月に目安額を答申。それを踏まえ、都道府県ごとに地方審議会を開き、額を決める。

(共同通信社)