団交拒否訴訟で大阪市敗訴 地裁「労組を軽視」

 

 大阪市職員でつくる「大阪市役所労働組合」との団体交渉を拒否したことを不当労働行為と認めた大阪府労働委員会の2019年1月の決定を不服とし、大阪市が府労委に取り消しを求めた訴訟で、大阪地裁(中山誠一裁判長)は29日、請求を棄却した。「労組を軽視し、弱体化させる行為で支配介入に当たる」と判断した。

 松井一郎市長は取材に「棄却は残念。内容をしっかり見ながら対応を決めたい」と述べた。

 市は橋下徹元市長時代の12年、庁舎内の事務所の貸与を取り消すと労組に通知。労組は団交を要請したが、市は拒否してきた。労組は現在、民間ビルに入居している。

 訴訟で市側は「庁舎管理は市が主体的に判断すべき事柄」と主張。地方公務員法が「交渉の対象とすることができない」と定める「管理運営事項」に当たるとしていた。

 中山裁判長は「団交の議題には、事務所移転による勤務時間帯の変更や有休取得への影響など管理運営事項ではない内容も含まれる」と指摘。市は団交内容を確認せず拒否したと判断した。

 労組は、府労委側の補助参加人として訴訟に参加。判決後、井脇和枝執行委員長は市役所で記者会見し「市は判決を真摯に受け止め、直ちに団交に応じてほしい」と訴えた。府労委は「主張が認められたと理解している」とコメントした。

(共同通信社)