2021年07月16日  共同通信社

最低賃金28円増を答申 経営側が反対、異例の採決 都道府県審議紛糾も

 

 中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)は16日、2021年度の地域別最低賃金の改定について、都道府県の時給を一律28円引き上げるよう求める目安を田村憲久厚労相に答申した。18人から成る審議会の経営側委員は答申決定の際、採決を求め、経営側4人が反対した。反対少数で答申は決まったが、採決となるのは異例。

 今後、都道府県の審議会が本格化するが、同様に経営側の反発は必至で、目安通り引き上がるかどうかは不透明だ。改定額は8月に出そろい、新たな最低賃金は10月ごろから適用される。目安通り引き上げられた場合、時給換算で現行の全国平均902円は930円となる。

 16日の審議会では、新型コロナウイルス禍の中で過去最大の引き上げ幅となったことへの不満や、審議の在り方を再検討するよう求める意見が経営側から相次いだ。

 田村憲久厚生労働相は同日の記者会見で「残念ながら意見が割れた」としながらも「できるだけ早期に全国加重平均千円を目指しており、賃上げの流れは維持できたと思っている」と述べた。

 14日に開かれた審議会の小委員会が目安を示していた。これまで鳥取など7県が最低額の792円だったが、全国で800円を上回ることになった。一方で、最高額の東京との差は依然として221円のままで、地域間格差の課題が残った。

 答申は目安額を経済情勢などに応じて都道府県をAからDの四つのランクに分類して提示し、いずれのランクも時給28円増とした。

 小委員会の議論では、労働側が大幅な待遇改善を要求したのに対し、経営側は賃上げによって、コロナ禍で打撃を受けている飲食業や宿泊業などの経営が圧迫されるとして現状維持を主張した。

(共同通信社)