高収入の一部専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」を3月末時点で導入していた17事業所のうち6事業所で、在社時間と社外で働いた時間を合計した「健康管理時間」が月300時間以上の長時間労働になった適用者がいたことが30日、厚生労働省の集計で分かった。2019年の導入後、厚労省が高プロ適用者の働く時間の集計を公表するのは初めて。
健康管理時間には休憩時間も含まれるため単純比較はできないが、一般労働者が月300時間働くと、残業が月100時間とされる「過労死ライン」を上回ることになる。労働組合や過労死遺族はかねて高プロが過重労働につながると指摘しており、改めて懸念の声が強まりそうだ。
厚労省によると、3月末時点で高プロを導入しているのは20社21事業所。このうち、労働基準監督署に定期報告があった17事業所について健康管理時間などを集計した。
高プロは金融ディーラーやアナリスト、経営コンサルタントなど五つの業務が対象。1カ月の健康管理時間が最も長い人で「300時間以上400時間未満」だったのはコンサルの4事業所と、アナリストの2事業所だった。適用者の平均で月300時間に達した事業所はなかった。
企業は適用者について、年104日の休日取得や健康確保措置の実施などが義務付けられている。四つの選択肢がある措置のうち「連続2週間の休日確保」を採用したのは9事業所で最多。一方、終業から次の始業まで11時間以上の休息時間を設ける「勤務間インターバル」や深夜勤務制限はゼロだった。
3月末時点で適用者は21事業所の計552人。内訳はコンサルが441人と最多で金融ディーラーが79人、アナリストが27人と続いた。
(共同通信社)