政府は2日、国内で新型コロナウイルスワクチンを少なくとも1回接種した人の数が1日時点で1千万人を超えたとの集計結果を公表した。合計1038万人で人口の約8%に相当する。企業による職場接種に関し、厚生労働省は関係省庁向け説明会で、1会場当たりの対象者は、最低千人程度を基本とするとの要件を示した。伊藤忠商事は国内勤務の社員ら約7500人を対象に21日から接種を始めると発表した。
政府は大学キャンパスでの接種に向けて、東北大や広島大など7大学で早期に始められるよう準備を加速。全国で1日100万回の接種体制構築を急いでおり、職場や若年層への接種拡大を目指す。
政府によると、少なくとも1回接種した人の内訳は、医療従事者らが465万人、65歳以上の高齢者らが573万人。2回目も含めた接種回数の総計は1400万回に迫っており、米ブルームバーグ通信の2日時点の集計によると、世界で19位。
医療従事者は、313万人が2回目の接種も終えており、このままのペースが続けばあと10~20日ほどで接種が完了する見通しだ。
また高齢者接種について、総務、厚労両省は「医療従事者確保が前提」との条件付きも含め、98・7%の自治体が7月末までに完了を見込んでいるとの調査結果を発表した。
経済活動の正常化を急ぎたい企業は、新型コロナワクチンの職場接種への準備を本格化させている。日本航空は乗務員らを対象に職場接種を実施する方針。トヨタ自動車も検討を進めている。
厚労省によると、企業や大学が接種を行う場合、医療従事者などを確保して接種計画を作成し、都道府県に申請する手続きが必要になる。
接種体制の構築で課題となっているのは打ち手の確保だ。政府は医師や看護師に加えて歯科医師も投入。資格を持ちながら離職中の潜在看護師や救急救命士ら新たな打ち手の掘り起こしを模索している。ただ接種ルートの拡大で打ち手不足が深刻化する恐れもある。
接種のデータがシステムに反映されるまで時間がかかるため、人数はより多くなっている可能性がある。
(共同通信社)