在籍出向支援利用3千人に 制度開始3カ月、厚労省


 雇用関係を維持しながら従業員を他社に出向させる「在籍出向」の推進に向けた新たな助成金の利用が5月14日時点で3343人に上ることが2日、厚生労働省の集計で分かった。制度は、新型コロナウイルス禍で悪化した雇用情勢に対応するため、今年2月に創設した。業種によって回復のばらつきがあるため、厚労省は「さらに制度の周知をしていく」としている。
 事業者間の雇用マッチングを行う「産業雇用安定センター」の集計によると、昨年度、在籍出向したのは3061人。新制度を利用した在籍出向者数が約3カ月でこの数を超えた形。
 厚労省によると、出向元は、感染拡大の打撃を受けた航空を含む運輸業・郵便業1449人が最も多く、製造業778人が続いた。出向先は製造業883人が最多、運輸業・郵便業646人が続いた。航空から貨物トラックなど運送業、好調な分野の製造業に出向するケースが多かった。異業種への出向は全体で約6割だった。
 新制度の名称は「産業雇用安定助成金」。賃金や教育訓練費など出向に伴う経費を出向元、出向先の双方に助成する。率は中小企業が最大10分の9、大企業は最大4分の3。日額上限は従業員1人当たり計1万2千円。
(共同通信社)