島根県でスーパーマーケットを展開する「ウシオ」(同県出雲市)の社員だった高木教生さん=当時(36)=が2009年に精神障害を発症し、自殺したのは過重な労働が原因として遺族が、遺族補償を不支給とした出雲労働基準監督署の処分取り消しを求めた訴訟の判決で松江地裁(三島恭子裁判長)は31日、自殺と業務との因果関係を認め、処分を取り消した。
判決によると、高木さんは1996年に入社。仕入れや売り上げなどの責任者を酒類と菓子類で掛け持ちしていた09年、誕生日の9月18日に出雲市内の山中で自殺した。遺族は労災保険法に基づき遺族補償を請求したが、労基署は15年1月、自殺と業務との因果関係を否定し不支給とした。
判決は自殺前の2カ月の時間外労働は販売計画書の作成など長時間を要する業務でそれぞれ月120時間を超えていたと認定。業務による心理的負荷は強く、自殺の直前に重度の精神障害となったと結論付けた。
遺族側は上司によるパワハラも自殺の原因と主張。判決は、ひどい嫌がらせがあったとは証拠上認められないと退けた。
判決後の記者会見で高木さんの母栄子さん(74)は「家族の過労自殺が認められず、同じように苦しい状況にある人たちの希望になれば、うれしい」と話した。
島根労働局は「今後の対応は関係機関と協議する」とコメントした。
(共同通信社)