過労死や過労自殺の防止策を検討する厚生労働省の協議会が25日開かれ、国の対策の方針をまとめた大綱の改定案をおおむね了承した。新型コロナウイルス禍による影響への対応を盛り込み、終業から次の始業までに休息時間を設ける「勤務間インターバル」の導入企業を2025年までに15%以上とするとの目標を設定した。
政府はパブリックコメント(意見公募)を経て、今年7月ごろの閣議決定を目指す。
協議会では、委員で過労死問題に取り組む川人博弁護士が、時間外労働が月65時間に及ぶと脳・心臓疾患のリスクが高まるとする世界保健機関(WHO)と国際労働機関(ILO)の共同調査を紹介、「大綱にも、この内容を盛り込むべきだ」と提案した。
改定案では、コロナ禍を受けて「感染症への対応や働き方の変化による過労死などの発生を防止する必要がある」と指摘。テレワークや副業・兼業、フリーランスなど多様化する働き方にも触れ、実態を把握する必要性を強調した。
大綱は14年施行の過労死等防止対策推進法に基づき、15年に閣議決定された。3年ごとに見直すことになっており、18年の改定では「勤務間インターバル」の導入企業の割合を20年までに10%以上にするとの目標を盛り込んだ。同年の実績は4・2%と達成できなかったが、今回「25年までに15%以上」との数値を新たに掲げた。
(共同通信社)
2021年05月25日 共同通信社