医師の健康確保、義務付け 病院再編、感染症対応も 改正医療法、成立


 地域医療を担うなど長時間労働がすぐに是正できない医療機関で働く医師への健康確保措置の義務付けや、病院再編への支援恒久化を定めた医療法などの改正法が21日、参院本会議で可決、成立した。新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、都道府県の医療計画に感染症への備えを追加することも盛り込んだ。

 政府は医師の働き方改革として、勤務医の残業時間の上限を原則、年960時間とする一方で、長時間労働の改善が容易に見込めない医療機関は例外的に年1860時間まで認める方針。

 改正法は、例外措置をとる医療機関には医師の連続勤務の制限や、終業から次の始業までの休息時間を確保する「勤務間インターバル」といった措置を義務付ける。医師以外の医療従事者の業務範囲を広げ、医師の負担軽減も図る。

 地域で合意が得られた病院再編への支援恒久化も盛り込んだ。病床を減らした医療機関に、患者を受け入れられないことに伴う減収を一時的に補う補助金制度を明記。人口減少や高齢化に備え、必要な病床数や機能を見直す「地域医療構想」の実現を後押しするのが狙いだ。構想は2025年を目標とする。厚生労働省は19年9月、再編の検討が必要な公立・公的病院名を公表し、各地で20年9月までに結論を出すよう求めてきた。だが新型コロナウイルス感染拡大を受け、20年6月に当時の加藤勝信厚労相が、結論を出す期限の延長を表明。議論の停滞が続いている。

 ただ新興感染症に対応するためにも再編が必要だとの政府主張に対し、立憲民主、共産両党は再編が非常時の病床不足を招く不安があるなどとして、20日の参院厚労委員会で改正案に反対した。

 都道府県ががんや脳卒中の予防、治療などの対策をまとめる医療計画に感染症への対応を追加。患者を受け入れる医療機関の選定や、一般医療を担う病院との役割分担を定めるよう求める。
(共同通信社)