仕事中に新型コロナウイルスに感染したことによる労災補償の認定が、4月23日時点で計5340件に上ることが厚生労働省の集計で10日、分かった。うち医療や福祉関連の従事者が約8割を占めた。申請件数も全体で1万件を超え、今年に入って急増している。
新型コロナ感染による労災認定を巡っては、厚労省が昨年4月、医療、介護従事者について「感染経路が特定されなくても原則対象となる」との通達を出している。ワクチン接種の早期実施に加え、一層の感染防止対策の徹底が求められる。
認定件数を業種別にみると、「医療業」や「社会保険・社会福祉・介護事業」など医療、福祉従事者が4234件で全体の79%。死亡者も5人いた。医療従事者以外は「運輸業、郵便業」が127件、「建設業」が82件、「卸売業、小売業」81件、「宿泊業、飲食サービス業」66件などだった。
労災申請は、昨年3月に最初の1件が出されて以降、増加傾向が続き、今年1月に初めて千件を超え、3月は2768件になった。申請のうち約半数が既に認定された。
一方、労災申請、認定件数とは別に、厚労省が企業などから報告を受けた、従業員の4日以上の休業を伴う労働災害の集計によると、仕事中に新型コロナに感染し、休業したり亡くなったりした人は昨年1年間で6041人に上ることも判明。報告の総数に占める割合は5%だった。
そのうち、2961人が病院などの「医療保健業」で働く人で、特別養護老人ホームなど「社会福祉施設」は1600人だった。厚労省は死者数の業種別の内訳は不明としている。
(共同通信社)