公開日 2021.4.21 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)
建設キャリアアップシステム(けんせつきゃりああっぷしすてむ)
建設業に関わる技能者の適正な評価や建設事業者の業務負担軽減に役立てるため、個々の技能者の保有資格、社会保険加入状況、現場の就業履歴などを業界横断的に構築されたシステムに登録・蓄積する仕組み。略称は「CCUS(Construction Career Up System)」。国土交通省と建設業界団体が官民一体となって、システム構築に取り組み、2019年4月より本格運用が開始された。
このシステムは、次のように運用される。
(1)技能者は、本人情報(住所、氏名等)、所属事業者名、職種、社会保険加入状況、建退共手帳の有無、保有資格、研修受講履歴などをシステムに登録する。また、事業者は、商号、所在地、建設業許可情報などを登録する。
(2)システムに登録した個々の技能者に、ICカード(キャリアアップカード)が配布される。
(3)現場を開設した元請事業者は、現場情報(現場名、工事内容など)をシステムに登録する。技能者が現場に設置されたカードリーダーなどでキャリアアップカードを読み取らせることで、「誰が」「いつ」「どの現場で」「どのような作業に」従事したのかといった就業履歴がシステムに蓄積される。
(4)システムに蓄積された就業履歴や保有資格などの情報を活用して、技能者の処遇改善や現場管理の効率化を図る。
国土交通省では、このシステムに蓄積された就業実績などを活用して、個々の技能者の経験、知識・技能、マネジメント能力などを評価する統一的な基準(建設技能者の能力評価制度)を策定し、2019年4月から運用を始めている。
この制度では、電気工事、橋梁などの35職種について、レベル1~4までの能力評価基準(就業日数、保有資格、職長経験など)が定められており、レベルに応じてキャリアアップカードを色分けすることにより、個々の技能者の経験や能力が一目で分かるようになっている。
今後は、特定技能外国人の適正な就労環境の確保、建設技能者の社会保険加入の促進などの面でも、このシステムが活用されるものと見込まれている。
国土交通省は、2024年3月末までにすべての建設技能者(318万人)の登録を目標としているが、同省の2020年度末見込みでは、技能者登録の累計は50.7万人(全技能者の15.9%)事業者登録は累計7.6万社(建設業許可数47.2万社の16.1%)となっている。