過労自殺、遺族補償認めず 十六銀行員、名古屋地裁


 2011年に十六銀行(岐阜市)に就職した20代男性がうつ病を発症し自殺したのは、過重な労働と上司のパワハラが原因として、遺族が、遺族補償を不支給とした岐阜労働基準監督署の処分取り消しを求めた訴訟の判決で、名古屋地裁は19日、「発症と業務に因果関係は認められない」として請求を棄却した。
 井上泰人裁判長は判決理由で、男性がひどく怒られた場面を同僚が見たことがないと指摘。上司について「パワハラと評価すべき接し方だったとは認められない」と述べた。
 資格試験の勉強時間も業務に含まれ過重だったとの遺族側主張も「銀行から具体的な指示はなかった」などと退けた。
 判決などによると、男性は11年4月に入行し、岐阜市内の支店に配属され同年12月に自宅で自殺。遺族が岐阜労働基準監督署に労災保険法に基づく遺族補償を求めたが認められず、不服の審査請求も退けられた。
(共同通信社)