神戸市の免職処分取り消し 職場で包丁、地裁判決

 

 精神的な不調で通院し、職場で包丁を持ち同僚を脅したとして分限免職処分を受けた元神戸市職員の40代女性が処分の取り消しを求めた訴訟の判決で、神戸地裁は11日、「心身の状態が改善し、職務遂行が可能となる見込みがなかったとまではいえない」として処分を取り消した。

 判決によると、女性は2015年8月、庁舎内で包丁を持ち、同僚に近づいた。女性は当時、パーソナリティー障害で通院し、薬物療法を受けていた。市は女性を分限休職処分にした後、16年3月に「治療期間が長く、治癒の見込みも立たない。今後の職務遂行に支障がある」として分限免職処分にした。

 泉薫裁判長は判決理由で「治療を継続し、精神的負担の少ない職務に従事すれば、問題行動に及ぶ可能性を抑えられる見込みは十分あった」と指摘。「処分は裁量権の行使を誤っており、違法だ」と判断した。

 市側は「衝動的な行為が再発する可能性が完全に消失したとはいえない」と主張していた。神戸市人事課は「控訴も含め、今後の対応を検討する」としている。

(共同通信社)