大企業に対する社外取締役の設置義務化や、取締役の報酬決定方法を透明化する規定を盛り込んだ改正会社法が1日、施行された。企業統治の強化につなげ、投資家の企業に対する信頼を向上させるのが狙い。
社外取締役の義務化では、取締役会による経営の監督に外部の視点を持ち込む。上場企業は既にほぼ導入済みだが、法律で明示し、社外取締役による業務の監督が保証されているとのメッセージを内外に発信する。企業にとっては社外取締役の質を向上させることなどが課題となる。
取締役の報酬に関しては、定款や株主総会で個人ごとの内容を決めない場合、取締役会がどのような方針に沿って決定するのか定め、概要を開示するよう義務化。これまで個別の取締役の報酬については決定方法が不透明だとの批判があった。
野村資本市場研究所の西山賢吾主任研究員は、社外取締役には「外部の視点から適切に意見を出せる人材が求められている」と指摘。報酬決定の透明化では「報酬と業績を連動させる仕組みの採用が進み、企業競争力の強化が期待される」とした。
改正法ではこのほか、役員への賠償請求訴訟に関し、会社が賠償金を補償するための規定なども設けられた。役員が経営上のリスクを積極的に取れるよう後押しする。
簡素な手続きで株主総会資料をインターネットで提供できるようにする規定は2022年に施行予定となっている。
(共同通信社)