建設石綿、大阪訴訟も確定 国と7社に3億円賠償命令


 建設現場でアスベスト(石綿)を吸い健康被害を受けた大阪府や兵庫県などの元労働者と遺族が国と建材メーカー22社に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(深山卓也裁判長)は国とメーカー、原告の上告を退ける決定をした。22日付。二審大阪高裁判決のうち、31人について国と7社に計約3億2800万円の支払いを命じた部分が確定した。
 全国9地裁に千人以上が提訴した建設アスベスト訴訟で、国の敗訴確定は東京、京都に続き3例目。京都、大阪もメーカー責任を広く認めた。
 一審大阪地裁は国に約9740万円の賠償を命じた。2018年9月の二審判決は、建材への警告表示を怠ったメーカー8社の責任を新たに認定し、国との関係で「一人親方」と呼ばれる個人事業主らも救済対象に加え、計約3億3900万円の支払いを命じた。
 確定した東京、京都訴訟は、安全確保の責任は主に雇用主らにあるとして、国の賠償範囲を損害額の3分の1にとどめた。大阪訴訟の二審判決は「石綿含有建材の普及は国の住宅政策に起因した」と指摘し、1991年までに製造を禁止しなかったのは違法だとして、国が責任を負う範囲を2分の1に引き上げた。
 第1小法廷は併せて、屋外作業に従事して亡くなった男性の遺族5人に対する積水化学工業(大阪)の賠償責任を認めた部分について、同社の上告を受理し、4月19日に上告審弁論を開くと決めた。結論を見直す可能性がある。
(共同通信社)