建設現場でアスベスト(石綿)を吸い、肺がんなどの健康被害を受けた京都府の元労働者と遺族計27人が、国と建材メーカー14社に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(深山卓也裁判長)は二審大阪高裁で敗訴した10社中8社の上告を退ける決定をした。28日付。原告24人について国とメーカーに対する計約2億8500万円の賠償命令が確定した。
全国9地裁に千人以上が起こした「建設アスベスト訴訟」のうち、メーカーの責任を幅広く認めた判決が確定し、他の訴訟でも救済範囲が拡大する可能性がある。国の賠償責任は、東京訴訟を巡る昨年12月の最高裁決定で既に確定している。
原告の建設作業員は複数の現場で職種ごとにさまざまな建材を扱うため、どのメーカーの製品が健康被害を引き起こしたか、因果関係の立証が難しかった。
2016年1月の一審京都地裁判決は、一連の訴訟で初めてメーカーの責任を認定し、9社と国に計約2億1600万円の賠償を命じた。18年8月の二審判決は「一人親方」と呼ばれる個人事業主に対する国の責任も新たに認め、計約3億円の支払いを命令。原告と国、メーカーがそれぞれ上告していた。
京都訴訟を巡り、第1小法廷は原告3人に対する国と2社の上告のみを受理し、3月22日に弁論を開くと決めた。
(共同通信社)