新型コロナ法案、審議入り 改正「実効性向上」と首相 衆院本会議、罰則導入焦点

 

 新型コロナウイルス対策を強化するコロナ特別措置法と感染症法の改正案は29日午後、衆院本会議で審議入りした。菅義偉首相は「事業者や個人の権利に十分配慮しつつ罰則規定を設けるなど、対策の実効性を高めるために必要な見直しを盛り込んだ」と強調。野党は入院拒否者への罰則を定めた感染症法改正案を巡り、厚生労働省専門部会の慎重論を「無視」する形で提出した検討過程を問題視する。

 前科とならない行政罰の過料を科す是非も焦点。与野党が事前に修正合意し、改正案は2月3日に成立する見通しだ。

 西村康稔経済再生担当相が改正案の趣旨説明で「国民生活や経済への影響が最小となるよう、必要な法制を整えることが喫緊の課題だ」と述べた。自民党の中山展宏氏は、感染収束後としていた法改正に関する方針を転換した経緯の説明を求める。

 与野党による事前の修正協議で、コロナ特措法改正案は営業時間短縮命令を拒んだ事業者に、緊急事態宣言下で30万円以下、宣言の前段階となる「まん延防止等重点措置」下で20万円以下にそれぞれ過料を引き下げた。

 感染症法改正案では刑事罰を外し、入院拒否者に対し50万円以下、疫学調査拒否者には30万円以下の過料を科すとした。

 改正案を議論した15日の専門部会では、罰則導入への慎重、反対意見が多数を占めていたことが判明。立憲民主党の長妻昭氏は「1年以下の懲役か100万円以下の罰金」を明記した法案を提出した政府対応を追及する。

(共同通信社)