高年齢者雇用推進者

公開日 2020.12.22 深瀬勝範(Fフロンティア 代表取締役・社会保険労務士)

高年齢者雇用推進者(こうねんれいしゃこようすいしんしゃ)

 高年齢者雇用確保措置を推進するため、作業施設の改善その他の諸条件の整備を図るための業務を担当する者。高年齢者雇用安定法11条および高年齢者雇用安定法施行規則5条において、事業主は、知識および経験を有している者の中から、高年齢者雇用推進者を選任するように努めなければならないと定められている。
 一般的には、事業所の責任者や総務人事部門の管理職などが選任され、高年齢者が働きやすいように作業内容を見直す、働き方を調整するなどの業務を行っている。
 なお、定年に達した後引き続いて雇用される有期雇用労働者について、有期労働契約が通算5年を超えて反復更新された場合に生じる無期転換申込権を発生させない特例の適用を希望する事業主は、高年齢者の特性に応じた雇用管理に関する特別の措置として、次のいずれかを実施することが求められている。

(1)高年齢者雇用推進者の選任

(2)職業訓練の実施

(3)作業施設・方法の改善

(4)健康管理、安全衛生の配慮

(5)職域の拡大

(6)職業能力を評価する仕組み、資格制度、専門職制度等の整備

(7)職務等の要素を重視する賃金制度の整備

(8)勤務時間制度の弾力化

 これらの措置のうち、「高年齢者雇用推進者の選任」は、それを行った事実の証明が比較的容易であるため、特例の適用を受けようとする、多くの事業主に実施されている。
 なお、2021年4月1日に施行される高年齢者雇用安定法の一部改正により、65歳から70歳までの労働者の就業機会を確保するための措置が努力義務化されることに伴い、これら措置の推進が業務に追加され、名称も「高年齢者雇用等推進者」に変更される。