2020年12月21日  共同通信社

公的年金額据え置きへ 抑制策は実施せず

 
 2021年度に支給される公的年金額は現在の水準で据え置かれる見通しとなったことが21日、分かった。指標の一つである過去3年分の賃金が横ばいだったため。据え置きは18年度以来、3年ぶり。年金給付の伸びを抑える「マクロ経済スライド」は実施しない。
 政府が21日閣議決定した21年度予算案の編成作業に合わせて試算した。
 年金額は、賃金と物価の変動を踏まえて毎年度見直すかどうかを判断する。物価については、今年1~11月の全国消費者物価指数に基づいて計算しており、未公表の12月分が大幅に下落した場合は、年金額は減額となる可能性もある。実際の改定率は来年1月に厚生労働省が公表する。
 据え置きだと、21年4月分(受け取りは6月)の年金額は、国民年金は40年間保険料を納め続けた場合、月6万5141円。会社員らが加入する厚生年金は、平均的な給与で40年間勤めた夫と専業主婦の妻という世帯で月22万724円。
 マクロ経済スライドは、年金財政を長期的に維持するため賃金と物価の伸びより年金額を低く抑える仕組みで、デフレ下では実施しない。今回は発動せず、22年度以降の景気回復時に繰り越した。
(共同通信社)