政府、フリー保護の指針案 一方的減額や納期変更違法 独禁法、労働法令適用も

 
 政府は18日、企業に所属しない「フリーランス」として働く人向けの保護指針案を大筋でまとめた。企業や仲介業者との契約では下請法や独占禁止法が適用され、一方的な報酬減額や納期変更は違法になると明記。実質的に取引先の下で働く雇用関係にある労働者と判断されれば、最低賃金などの労働関係法令が適用されることも改めて示した。年内に一般からの意見公募手続きを始め、年度内に正式決定する。
 フリーランスを巡っては新型コロナウイルス感染拡大の影響で、インターネットを通じた食事宅配サービスの配達員やITエンジニアの副業など新たな働き方が拡大している。政府は7月の成長戦略実行計画で労災保険の対象範囲の拡大や保護ルール作りを決定していた。
 指針案はフリーランスは仕事の発注を受けて生活するため、企業などから不利な契約を押しつけられやすいと指摘。契約のトラブルが相次いでおり、未然に防ぐため、双方に仕事の範囲や著作権の扱いといった契約条件を事前に書面で取り決めるよう求めた。
 その上で極端に少額な報酬設定や契約後の納期変更、一方的な返品などは独禁法の「優越的な地位の乱用」に該当しうるとした。該当するケースも例示し、取引先の業績悪化による一方的な報酬減額や、運送契約なのに倉庫での仕分け作業まで要求することを挙げた。
 労働法令の対象になるかどうかは働き方に応じて個別に判断する。常に相手先から指示を受けるなど実質的に労働基準法や労働組合法で定義する労働者に当たる場合は、最低賃金の補償や団体交渉権といった権利が生じるとした。
 指針案は内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省が共同で策定した。
(共同通信社)