厚生労働省は17日までに、雇用関係を維持しながら他社に従業員を出向させる「在籍出向」を推進する新たな助成金制度の概要を公表した。新型コロナウイルス感染拡大で事業を縮小した出向元と受け入れ先の双方を対象に、賃金や教育訓練費の一部を支援することが柱。年度内に助成金の申請を受け付ける方針。
出向の連携先を見つけたり、受け入れのための環境を整備したりするには労力や経費が必要。このため、インセンティブ(動機づけ)を高め、促す狙いがある。
新設する助成金の名称は「産業雇用安定助成金(仮称)」。賃金や教育訓練費、出向に伴い必要となってくる新たな就業規則や機器の整備などにかかる初期経費について、出向元と出向先の両方に助成する。
賃金、教育訓練費用の助成率は、出向元が従業員を解雇していない場合、中小企業が最大10分の9、大企業は最大4分の3。日額の上限額は従業員1人当たり1万2千円。初期経費の助成額は、1人につき定額10万円で、異業種からの受け入れなど、一定の条件を満たす場合は1人当たり5万円を加算する。
企業が支払う休業手当の一部を補助する「雇用調整助成金」にも在籍出向への助成制度があるが、出向先は対象外となっている。政府は、在籍出向を活用した雇用維持に必要な56億円を2020年度第3次補正予算案に計上した。
(共同通信社)