ヤマト社員自殺労災認める 業務負荷で適応障害発病

 
 宅配便大手ヤマト運輸の男性社員=当時(45)=が2016年に自殺したのは長時間労働などが原因だとして、名古屋市に住む男性の妻が労災を認めなかった名古屋北労働基準監督署の処分取り消しを国に求めた訴訟の判決で、名古屋地裁は16日、請求を認めた。長時間労働と業務中の交通事故による心理的負荷が原因で適応障害を発病したと認めた。
 井上泰人裁判長は判決理由で「時間外労働が繁忙期に1カ月130時間を超え、その後も恒常的に長時間労働をしていた」と指摘。会社が交通事故を「相応に重い出来事」として扱っていた点にも言及し、集配センターの従業員2人と、センターの責任者だった男性自身の事故が、心理的プレッシャーとなったと認定した。
 判決などによると、男性は1999年にヤマト運輸に入社し、15年9月に名古屋市内の集配センターに異動した。センター長として従業員の人事管理をしながら自ら配送業務も担当していたが、16年4月に愛知県内の林で首つり自殺をした。
 妻は同6月、労災補償を求めたが、名古屋北労基署は「業務上の疾病で死亡したとは認められない」として不支給を決めた。
 妻は代理人弁護士を通じ「ヤマト運輸は判決を読んで、仕事が原因で夫が亡くなったことを認め謝罪してほしい」とコメント。名古屋北労基署は「判決文を検討した上で対応する」、ヤマト運輸は「訴訟当事者ではないためコメントは差し控える」とした。
(共同通信社)