俳優ら労災保険適用へ 「特別加入」で来年度 厚労省、アニメーターも

 
 フリーランスで働く人の保護を強化するため、厚生労働省は8日、俳優などの芸能従事者やアニメーターなどのアニメーション制作従事者、柔道整復師として働く個人事業主について、労災保険への加入を認める方針を固めた。現在は建設業の一人親方などが対象の「特別加入制度」を適用。同日開いた労働政策審議会の部会で大筋了承された。今後、省令の改正手続きを経て来年度に導入する。
 政府が多様な働き方を推進する中、フリーランスは増加傾向で462万人との試算もある。雇用されていないため、労働関係法令が適用されず、新型コロナウイルスの感染拡大でも十分な収入補☆(土ヘンに眞)が受けられないなどの課題が表面化。政府は仕事でけがや病気になった場合に補償が得られるよう、労災保険の適用を検討していた。
 政府の統計によると、芸能従事者の人口は約21万8千人、柔道整復師は約7万3千人。アニメーターは業界団体の推計で約1万人いるとされる。厚労省は現時点で、このうち計約1万5千人の特別加入を想定している。
 労政審の部会ではこれまで、3業種の業界団体を招き実態を確認。仕事が原因とみられる傷病として、芸能従事者がのどのポリープや椎間板損傷、アニメーターは長時間同じ姿勢で作業を繰り返すことでのけんしょう炎、柔道整復師は無理な体勢での施術による腰痛が多いと報告された。
 特別加入制度は建設業の一人親方など働き方が労働者に近い個人事業主を対象に、労災保険への加入を任意で認めるもので、2018年度末現在、約190万人が加入。業種ごとの特別加入団体に申し込み、自身で保険料を払えば補償が受けられる。
(共同通信社)