名古屋市交通局のバス運転手山田明さん=当時(37)=が2007年に自殺したのは、過重労働とパワーハラスメントが原因として、山田さんの両親が市に約8700万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、名古屋地裁は7日、「精神障害を発病させるほどの強い心理的負荷が生じると予見できた」として市に約6300万円の支払いを命じた。
井上泰人裁判長は判決理由で「長時間労働の下、約4カ月の間に立て続けに身に覚えのない乗客からの苦情や、車内での転倒事故を巡る指導を受け、精神障害を発病、自殺した」とした。
特に転倒事故では、山田さんが、自身が運転するバスでの事故だったとの自覚がなかったにもかかわらず、市が十分な調査をせず山田さんを事故の運転手として警察に出頭させたと指摘。出頭翌日に自殺を図っており「心理的負荷と自殺との間には因果関係がある」と判断した。
判決によると、山田さんは自殺前の約6カ月間、1カ月当たり平均60時間以上の時間外労働に従事。その間、本人が自覚していない出来事を根拠に配慮のない指導を受け、07年6月、市内の高架下でガソリンを浴びて焼身自殺した。
公務災害認定を求めた別の訴訟は名古屋高裁が16年、自殺と公務の因果関係を認めていた。
(共同通信社)