出産した人に42万円が支給される出産育児一時金を巡り、厚生労働省は1日、与党議員から要求があった増額を見送る方針を固めた。負担が大きいとされる出産関連費用に関し、さらに細かく分析した上で対処する必要があると判断した。
一時金の額を上回ることを背景に、自民党の議員連盟が少なくとも4万円引き上げを求め、公明党も50万円までの増額を目指している。
出産育児一時金は公的医療保険から拠出するため、健保組合など企業側の合意が欠かせない。出産費用は都市部ほど高い傾向にあるが、食事など出産と直接の関係が薄いサービスが高い場合もある。厚労省は今後、費用の詳細を把握できるよう、調査データの取り方の変更などを検討する。
42万円には、出産事故に備える「産科医療補償制度」の掛け金1万6千円が含まれている。2019年度の公的病院の出産費用は掛け金を除いて平均約44万円。厚労省は掛け金を1万2千円へ下げることを社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の関連部会へ提案。実現すれば実質的な出産費用として利用者が受け取る額は現行より多くなる。
田村憲久厚生労働相は、引き上げは「保険料を負担する国民や企業の理解を得ることが前提だ」としていた。
(共同通信社)