2021年度に支給される公的年金額は現在の水準で据え置かれる公算が大きいことが20日、分かった。政府関係者が明らかにした。年金額は物価や賃金の変動に合わせて毎年度改定される。20年の物価は小幅に上昇する見通しだが、賃金の指標は横ばいの見込み。この場合、改定ルールに基づき据え置きとなる。物価が上昇するため、実質的な価値は目減りする。
据え置きだと、21年4月分(受け取りは6月)の年金額は、国民年金は40年間保険料を納め続けた場合、月6万5141円。会社員らが加入する厚生年金は、平均的な給与で40年間勤めた夫と専業主婦の妻という世帯で月22万724円。
21年度の年金改定額は、20年の物価の変動や過去3年間の賃金の動向を勘案して決まる。20日に総務省が発表した今年1~10月の全国消費者物価指数(生鮮食品を含む)を踏まえると、政府関係者は、物価は20年全体で小幅なプラスになるとみている。
また指標となる17~19年度3年間の賃金の変動率は、ゼロもしくは微増になる見込み。物価の伸びが賃金の伸びを上回る場合は、年金額の改定には賃金の変動率を用いる仕組みだ。
公的年金には、年金財政を長期的に維持するため賃金と物価の伸びより年金額を低く抑える「マクロ経済スライド」という仕組みがある。賃金の変動率が微増の場合はこの仕組みが適用されて改定率はゼロになる。
21年度の正式な年金額は来年1月下旬、厚生労働省が発表する。11~12月の物価が大幅に下落し、年間全体でマイナスになった場合は、年金額は減額となる可能性もある。
(共同通信社)