確定拠出上限引き上げへ 給付型併用、5万5千円 企業年金、老後を支援

 

 厚生労働省は9日、国民年金や厚生年金に上乗せして運用する企業年金を巡り、将来受け取りが可能な年金額が運用実績で変わる「確定拠出年金」の掛け金の上限を月2万7500円から5万5千円に引き上げる方針を固めた。企業が年金額を保証する「確定給付年金」と併用する場合が対象となる。併用者は400万人おり、企業の9割は掛け金を増やせる見込みだ。

 運用できるお金を増やし、会社員の老後に向けた資産形成を支援する狙いがある。与党税制調査会で議論し、2022年度以降の導入を目指す。

 現状では、企業が確定拠出型だけを実施している場合の掛け金の上限は月5万5千円と定められている。一方、確定給付型と併用している場合は、拠出型に関する上限が半額の2万7500円に抑えられている。

 しかし実際は、確定給付型の加入者1人当たり掛け金の平均水準は、約1万3千円にとどまっているという。このため確定拠出型と合計しても5万5千円には達していないケースが多く、併用していない場合と比べ不公平だと指摘されていた。

 今回の方針では、確定給付型と併用の場合でも、合計で5万5千円までなら、確定拠出型の分の上限が2万7500円を超えることを認める。

 すでに合計で5万5千円を超えている一部の企業に関しては、加入者への不利益な変更にならないよう、当面は上限超えを容認する。

(共同通信社)